アングレア共和国

アングレア共和国 -Anglean Republic –

極北の大陸は訪れる者もなく、厳寒の荒野が広がるばかりである。大地は固く凍りつき、ツンドラ地帯はひとたび雲が立ち込めると数か月もの間、闇に包まれる。アングレア共和国は氷に閉ざされたこの地に興り、民は過酷な自然環境を生き抜くために、血管に氷が流れているかのように冷酷になった。厚い氷の下に眠る古代遺物の在処を知るのは共和国だけである。いわく、共和国の民こそが遺物を手にするのにふさわしく、遺物もまた彼らの手で冷たい檻から解き放たれる日を待ち望んでいるのだそうだ。前時代の偉大な技術が秘めた力ははかり知れずず、共和国が目指す世界の再建に無くてはならないものだ。

 厚い氷の下には旧世界が当時の姿のまま眠っている。アングレア共和国の民は氷漬けになった解読不明の壁画や正体不明の機械が散乱する前時代の建造物で暮らしている。技術者たちは発掘したいくつかの遺物の解明に不完全ながらも成功し、兵器化したものを略奪の用に供している。共和国は、遠い祖先が作り出した黒い煙を吐き出す機械の力を知って以来、世界に過去の栄光を取り戻すべく国を挙げて遺跡狩りに明け暮れている。

北部雪原には何もないと言われているが、アングレア共和国の民だけは何かを掴んでいるようだ。北極圏に近い厳寒の地で生きていくために彼らは優れた発明家となったが、こと住みよい土地を得ることにかけては、何にも増して冷酷で獰猛な民となった。彼らが操る強大な飛行船と煙を吐き出す機械は、上空に現れるだけで威嚇効果は十分だが、彼らはそれだけでは済まさない。欲しいものは力ずくで奪い取るのが共和国の流儀なのだ。

豊かな生活は錆びついた技術の中に埋もれている。前時代の技術を真に理解した先にこそ、全国民に富と資源が行き渡る未来があるのだ。そのためにはやはり、氷を溶かすことになるだろう。

「過去を紐解き、未来をその手でつかめ」