キャラドン評議会 – Order of Chaladon –
生命を育んできた地球の均衡は崩壊しつつある。砂嵐で内陸部の平野は荒廃し、終わりのない乾期が水源を干上がらせ、汚染された雨が僅かに残された耕地を蝕んでいく。キャラドン評議会は、人類が絶滅の危機に瀕しているのは、かつて欲望のままにふるまい、自然との調和を拒んだ代償であると考えている。それゆえに彼らは他者との関わりを断ち、聖域と呼ぶ東方の島々に隠棲することを選んだのだ。
評議会がその地で長い年月をかけて静かに自然を再生してこられたのは、彼らの考えを理解できない者からの干渉を受けなかったからにほかならない。
大戦で世界は崩壊し、僅かに生き残った者たちもまた飢餓や病で――乾ききった地表を覆う鮮やかな赤い霧に、死と荒廃の灰塵(ダスト)が降り積もりつつあった――絶滅の危機に瀕していたが、キャラドン島は衰亡とは無縁であった。島は白く輝く砂浜と青く澄んだ海に囲まれ、内陸部の緑濃い草原には熟れた果実の甘い香りが漂う。豊饒の大地で暮らすキャラドン島の民は、近代的な思考と高度な生化学の技術を蓄えていった。島では年老いた農夫が畑仕事を終えた後、工房にこもって収穫量を三倍に増やす肥料を調合し、幼い少女が日々の手伝いの前に、たった今思いついたばかりの流体圧を使った簡単な汲み取り装置を作り上げる。彼らは穏やかな生活を謳歌していた。
かつてキャラドン島の者は家族を数か月養い、冬を越すのに十分な作物を育てる方法を教えることができるという噂が広まった。事実、彼らなら荒れ地を開墾し、肥沃な畑に改良することができただろう。だが彼らは、それには大きな代償を伴うことを知っていた。それゆえに外部の者と関わらず、孤立して生きていくことを選んだのだ。人類が再び自然から過剰に搾取するようなことになれば、大地が最後の種を発芽させた後、その子孫を待ち受けるのは死である。
自然が人類に授けてくれるものを理解しているキャラドン人の知識欲が尽きることはない。自然を敬い、節度をもって接すれば、人類は生きていくために必要な資源を受け取ることができる。だが敬意を忘れ、欲望のままに刈り尽くした果てには、人類は死に絶える他ない。
彼らにとって死が万物の尺度なのだ。
「人は大いなる自然の恩寵によって生かされているに過ぎない。」